多可染工株式会社
VOL. 02
多可染工株式会社
「播州織産地を支える染色会社で
"色をつくり出す仕事"に携わろう!」
代表取締役 橋本義仁
1. 播州織の〝花の1区〟を担う染色工場
1955年の創業以来、播州織産地を流れる杉原川の上流で染色工場を営んできました。
先染めが特徴の播州織の製造工程は「染色→糊付け→機(はた)織り→加工」の4つに分かれ、準備工程も含めるともっと細かな分業で成り立っています。つまり播州織の織物は一社で完結するマラソンではなく、産地全体で技術をつないでいく〝駅伝〟で生み出されるのです。
そして染色という〝花の1区〟を任されている私たちがうまく走り、次工程にタスキをつないでこそ、国内外に誇る播州織は完成します。その責任と自負を胸に、60余年にわたり事業を続けてきました。
2. 産地を守り、自社の発展に向けた新展開
ところが播州織産地の生産量は最盛期の10分の1程度にまで減少し、染色工場の数もピーク時の30数社から減り続けて今や4社になりました。
産地を守り、自社も存続・発展させるためにはどうすればいいか――。そんな危機意識のもと、20年ほど前から〝糸を均一に染める技術を活かした新事業展開〟を進めてきました。具体的には、「①糸以外に染色する」「②糸に機能をつける」「③自社商品展開」の3つです。
①については高級車の部品を手掛けるといった異業種展開に発展し、②については自社開発の抗菌・消臭機能を糸につける技術を5年がかりで開発。その抗菌・消臭機能を持つ独自の糸(TAS:TO糸)でハンカチや靴下、枕カバーといったオリジナル商品をつくってきました。さらに③については、社内デザイナーが中心となって播州織のブラウス・チュニックやストールなどの商品を製造し、販売までを自社で手掛けています。
こうした展開以外にも、異業種コラボによる研究開発プロジェクトが同時進行で複数動いています。ひと昔前は「なんじゃ、染工場か」と言われたものですが、今ではそうしたイメージから脱却し、化学工場や研究開発企業といっても過言ではないほどに成長しているんですよ。
もっとも、染色という本業があるからこその新事業であり、すべての取り組みが産地に貢献するためであるのは言うまでもありません。補助金などの公的支援もいただきながら技術開発を行うなど、第三者的な公認もいただきながら産地に根づいた事業に今後も注力していきます。
3. ファッションの原点である「色」をつくり出す仕事
仕事参観日で見学してもらうのは本業の染色作業です。染色の仕事をひと言で表現すれば、「色をつくり出す仕事」。お客様から指定された色を忠実に再現するべく、染料を選び出して調合し、試験染を行うわけですが、これが一筋縄ではいきません。
糸の素材や特質、気温などによって染まり方が微妙に異なるため、どの染料をどの分量で掛け合わせれば目的の色にたどり着くのか、経験に裏打ちされたセンスと勘で判断しなければならないのです。
ですが難しいがゆえに、取り組むと面白いのも事実です。「目的の色をピタリと出せたときの喜びは大きい」と染色工は口をそろえます。これまで何万色とつくり出してきた試験糸のストックの一つひとつに、職人の試行錯誤が詰まっているのです。
この染料調合試験を終えると染色工程に移ります。ロットや素材などの条件で染色方法を決定し、染料の入った釜で糸を煮込むようにして染色してでき上がります。
世の中から色がなくなればファッションは成り立ちません。その意味で、染色とはファッションの原点をつくり出す仕事なのです。
4. 基本を大切に、創意工夫できる人を求む!
染色の仕事は100分の1グラム単位で染料を計量し、試験にかける正確さが求められます。したがって求める人材像の第一は、基本に忠実に働ける人。土台があるからこそ家が建つように、基礎があるからこそ創意工夫が生まれます。
染色の基本をしっかりと身につけて、花の一区のランナーとしてともに多可染工を、そして地場産業を盛り上げてみませんか。そんな意欲のある人たちに当社を知ってもらいたいですね。
多可染工株式会社は、2018年11月28日(水)に開催される「仕事見学バスツアー60歳未満」の受け入れ事業所です。
仕事参観日「60歳未満」の参加事業所一覧チラシをダウンロード
※仕事参観日のスケジュールや参加申込書が、記載されたチラシをダウンロードできます。