多可高校 × 後藤高広

CROSS × TALK

聴く、伝える、みんなの想い

VOL. 02

多可高校 × 後藤高広

(特定非営利活動法人 cambio 理事長)

これから社会に出ていく高校生と、人材を受け入れる経営者の対談企画。
多可高校の福祉ボランティア類型を専攻する2年生5名と、障害者の就労支援に取り組むカンビオの理事長・後藤高広氏が「しごと」や「地元で働くこと」について本音でぶつかり、語り合いました。

  • 福祉ボランティア類型 2年

    神吉梨那

  • 福祉ボランティア類型 2年

    竹本愛茄

  • 福祉ボランティア類型 2年

    藤賀奈津樹

  • 福祉ボランティア類型 2年

    松原もゆる

  • 福祉ボランティア類型 2年

    三和田亜実

  • 特定非営利活動法人 cambio 理事長

    後藤高広


CROSS × TALK

01

高校生は企業に何を求め、企業は人材に何を求めている?

「高校生の皆さんに質問。どんな仕事に興味があり、どんな職場で働きたい?」

  • 三和田

    私は作業療法士を目指しています。結婚後も仕事を続けたいので、産後復帰しやすい職場なら安心かなと思います。

  • 松原

    私も作業療法士になって結婚後も働きたいのですが、子どもがいると心配だし、夜勤はないほうが気持ち的に楽だと思います。

  • 神吉

    私は経験の積める職場がいいです。信頼される人になるためには経験が必要だと考えるからです。理想としては看護師を数年したのち、その経験を活かして養護教諭になるのが目標です。

  • 竹本

    私は子どもと関わる職業を考えています。おそらく一般企業で働くことになると思うので、休みがきちんとある会社がいいかな。

  • 藤賀

    私は介護士を目指しています。施設のスタッフ同士で力を合わせて働くためにも、人間関係のいい職場がいいなと思います。


  • 後藤さんが人材に求めるものは?

    後藤

    僕が理事長をしている福祉事業所では、障害を持つ方々の就労支援や自立支援を行っています。皆さんが期待する職場環境を提供できるよう、努力せなあかんなと改めて思いましたね。一方で僕が人材に求めるのは「基礎」です。挨拶ができること、約束を守ること、そんな人としての土台が築けていれば、あとは足し算と引き算ができとったら社会人として通用します。その上での専門知識は、働きながらでも身につけられるから。


02

職場も学校も「人のつながり」。人間関係を築く上で大切なこと。

「医療・福祉業界で求められる能力は?」


  • 後藤

    一般に福祉事業所では精神や身体に障害を持つ利用者さんが働いています。だから僕の事業所では、日ごろから利用者さんとコミュニケーションを取り、できる限り安心して働いてもらえるよう心がけています。その意味で、福祉に携わる人には相手の立場になって物事を考える力が必要でしょうね。ですが福祉に限らず、一般企業も学校も人と人とのつながりで成り立っています。だから僕は、この人と一緒に働きたいなと思える人を求めますね。

  • では藤賀さんが挙げてくれた「人間関係」を築く上で大切なことは?

    後藤

    ズバリ「信頼」を置ける人、これに尽きます。お互い信頼し合い、認め合うのが組織ですから。


  • 「信頼」を築くために大切なことは何だと思う?

    竹本

    何でも言い合える関係を築くことだと思います

  • 松原

    約束は守らないといけないと思います。

  • 三和田

    私も約束を守ること、何でも言い合える関係を築くことが大切だと思います。

  • 藤賀

    相手によって態度を変えるのではなく、誰に対しても優しく接したり、手助けしたりできることだと思います。

  • 神吉

    相手の目をしっかり見て話すこと、挨拶を丁寧にすること。そんなことを私は大切にしています。

  • 後藤

    みんな大事なこと言うなあ。僕が福祉事業所とは別に経営している製造業の会社では、従業員に「製造業はサービス業ですよ」と伝えています。「いい製品をつくります!」とお客様に言っているだけではだめで、納期を守る、品質を良くする、そんな一つひとつの積み重ねが信頼になっていくから。そうやってお客様の立場に立った製造業を心がけています。



03

地元で働くことについて、高校生と企業人が思うこと。

「将来地元で働きたい人?」

  • (三和田さん、松原さん、神吉さん、藤賀さんが挙手)

    後藤

    結構多いね。理由を聞いていい?

  • 松原

    高校卒業後は専門学校への進学を希望していますが、実家から通える範囲で考えていて、就職後は地元の病院で働きたいです。

  • 後藤

    一人暮らしをしたいと思わない?

  • 松原

    あまりないですね。私のおばあちゃんは足が悪いんですけど、地元の病院に勤めて地域のおじいさん、おばあさんを助けたいなって思います。

  • 藤賀

    都市部は選択肢がたくさんあって憧れもあるけど、不安もあるし、やっぱり地元がいいです。地域の人たちと関わりながらいろんなことを吸収し、人として成長していきたいです。

  • 三和田

    私も地元から通える範囲で働いて、作業療法士として地域の人の役に立ちたいなと思います。

  • 神吉

    私は県外への進学を考えていますが、看護師としての経験を積んだうえで、多可町に戻ってきて養護教諭になりたいです。

  • 後藤

    戻ってこようと思うんや?


  • 神吉

    お母さんがおばあちゃんになったら面倒看ないといけないし(笑)

  • 後藤

    みんな地元愛強いなあ。嬉しいなあ。

  • 竹本

    私は都市部に出たいとは思わないんですが、神戸に近い三木とかで一人暮らしをしながら働きたいです。

  • 後藤

    絶妙の距離感やね(笑)。僕の経験を言うと、2年ほど一人暮らしをしながら専門学校に通わせてもろたんやけど、このまちを出て多可町の良さを知りました。山川の自然に広い空、きれいな水と空気。こんなええとこないでほんま。都市部に出る場合でも、1時間ほどみといたらだいたい行けるしね。社会人になると仕事で忙しくもなるし、日々の落ち着く環境のほうが大事かなと思います。


  • 最後に皆さん、地元で好きな点をひと言ずつ!

    三和田

    空気がいいところ。

  • 神吉

    小さい頃から知ってる人が多いので安心できるところ。

  • 松原

    自然が多いところ。

  • 竹本

    中学までずっと一緒の友だちも多く、信頼関係を築きやすいところ。

  • 藤賀

    稲が金色に輝き始めたら秋だなとか、季節を感じられるところ。

  • 後藤

    みんないい感性してるわ。

  • 後藤さん、最後にメッセージをお願いします。

    後藤

    まず夢や目標を持ってほしいですね。何かを目指すと壁が立ちはだかるし、大変なこともあると思う。でも自分を信じて、逃げずにぶち当たり続けてください。何度も体当たりし、乗り越える経験を重ねることで、人として成長していくから。あと、ぜひ恋をしいや(笑)。相手を想う――これは医療や福祉に携わる人にとって大事なことやから。







  • 特定非営利活動法人 cambio

    多可郡多可町中区森本809-15
    ・無添加鹿肉ドッグフード製造販売
    ・鳥獣害指定の鹿肉加工施設運営 ほか

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  • 兵庫県立多可高等学校

    多可郡多可町中区東山553






AFTER TALK ~取材を終えて

ライター

高橋 武男

今回参加してくれた5名の高校生はみんな2年生でした。高校を出て就職するにせよ進学するにせよ、具体的な働くイメージをこれから描いていく段階だと思います。

ですので「企業に求めることは何?」「理想の職場環境は?」なんて聞かれても、どう答えていいか分からなかったかもしれません。それでも自分なりの考えをきちんと話してくれました。

なかでも「人間関係のいい職場」と答えてくれた生徒さんがいて、ぼくも仕事は「だれとするか」が大事だと思っていることもあって、その路線で対談の前半を方向づけさせてもらいました。

さすが後藤理事長です。組織のトップとして、多くの人を束ねてこられた経験をもとに大事な話をしてくださいました。

高校生の皆さんには、社会で働く、組織で働くってどういうことか、考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。でも後藤理事長もおっしゃっていたように、学校も会社も同じ人の集まりなので、大事なことの根本は同じなんでしょうね。

今回の対談で何より意外だったのは、地元志向の生徒さんが多かったことです。ぼく自身の高校時代を思い返してみても、田舎を出たい、一人暮らしをしたい、そんなふうに思う生徒さんが少ないのは不思議でした。

大きな可能性を秘めた高校生です。一度は外に飛び出して、もまれて、時に失敗もしながらいろんなことにチャンレジするのも大事だと考えます。さらに外に出ることで初めて気づくこともあるでしょう。

しかし同時に、後藤理事長のように多可町で活躍されている経営者の方々がたくさんいらっしゃいます。多可町の将来を考えると、地元を想う若い人は地域の財産です。地元への想いを話す高校生たちの姿を見ながら、「地元愛強いなあ。嬉しいな」と目を細める後藤理事長の様子を目にして、そう感じました。

だからこそ必要なのは、地域で働く魅力や地元企業の良さを、もっともっと地元の若い人たちに知ってもらうこと。そして若い人たちから地域や地元企業に求めることを、もっともっと聞いていくこと。

地域の将来を担う人材と、地元企業を結びつける――そんな努力が、この地域で働くわたしたち大人に求められているのではないでしょうか。

最後に――。

後藤理事長がメッセージをされていたように、高校生の皆さん、夢や目標を持ち、失敗をおそれず大いにチャレンジしてください。達成できるかどうかよりも、そこに向かう努力のプロセスで人は成長していきますから。